2025年、日本政府が新たに施行した「AI関連技術研究開発促進法」。
この法律は、AIの研究や開発を支援する一方で、安全性や倫理にも配慮した“ゆるやかなルール”です。
では、世界各国はどう動いているのでしょうか?本記事では、日本の法制度の特徴と、EU・アメリカ・中国・イギリスなど主要国との違いをわかりやすく解説します。
日本のAI関連技術研究開発促進法とは?

「AI関連技術研究開発促進法」(正式名称:人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律)は2025年5月28日の国会可決・成立後、原則として6月4日に施行されました(第3・第4章は公布後3ヶ月以内に政令で施行)
内閣府の政策⇒AI戦略:・人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律(AI法)
概要
「AI関連技術研究開発促進法」は、日本政府がAIの研究開発を進めながら、安全性や倫理的リスクにも対応していくための“基本方針”をまとめた法律です。
企業や研究者に対して義務や罰則はなく、「国としてこういう方向に進みたい」という意思表明に近い内容です。
法律の中身(ざっくり4章)
- 第1章:総則 → AIとは何か、国や企業・国民の責任など基本的な考え方を定義
- 第2章:基本施策 → 研究支援、人材育成、倫理的な活用の推進、国際連携など
- 第3章:AI基本計画 → 政府が今後のAI戦略を5年ごとにまとめる(内容は今後)
- 第4章:AI戦略本部 → 総理大臣を本部長にして省庁横断の司令塔を設置
法の構成(全4章・全28条)
・第1章 総則(第1–10条)
目的・定義・基本理念・国・地方・研究機関・事業者・国民の責務、連携の強化、必要な措置等。AIは「認知・判断を代替・支援する情報処理システム」と広く定義
・第2章 基本的施策(第11–17条)
研究開発支援、施設・設備共用、人材育成、教育促進、調査・研究、国際協力、安全性確保のための指針整備と事業者への助言・指導
・第3章 AI基本計画(第18条)
政府がAI開発・活用の基本方針と施策を定める。5年ごとに更新予定
・第4章 AI戦略本部(第19–28条)
内閣に「AI戦略本部」を設置、内閣総理大臣が本部長、副本部長に官房長官ら、全閣僚が構成員。省庁横断で政策を一元管理
この法律の狙い
- 世界に遅れているAI研究・活用をキャッチアップしたい
- 安全性・透明性のある「信頼できるAI」を日本の強みにしたい
- 企業への強制力は避けつつ、ソフトなガイドラインで促進したい
企業・研究機関への影響
- 罰則なしのソフトロー:直接的義務はなく、事業者への協力義務や透明性確保義務などはあるが、罰則は設定されていません。
- 国の調査・是正勧告:政府はAI利用状況の調査・把握ができ、必要に応じて指導/助言/是正、公表が可能。
- インセンティブ強化:財政支援・税制優遇など研究開発加速策が導入されます。
世界の主要国のAI法はどうなってる?【4カ国比較】
🇪🇺 EU:AI Act(AI法)

EUは2024年に「AI Act」を可決。
世界で初めてAIをリスクごとに分類し、危険性が高いAIには厳しい制限と罰則を設ける「強めの規制路線」を選びました。個人の権利や人権保護を最優先する姿勢が特徴です。
- AIを「リスクの高さ」で4段階に分類
- ハイリスクAIは使用制限、違反時は巨額の罰金
- 人権・安全・差別防止のための厳格な管理
🇺🇸 アメリカ:民間主導+緩やかなルール

アメリカは連邦レベルの明確なAI規制は少なく、基本的には民間企業の自由な開発に任せる方針。
GAFAやOpenAIのような企業がAI開発を主導しており、国は倫理指針やガイドラインを出す程度です。
- 国家全体の法整備は未完成(州ごとに規制)
- AI開発の自由を最大化し、イノベーション重視
- 規制より競争。GAFAやOpenAIに任せる方針
🇨🇳 中国:国家主導の厳格な管理

中国ではAIは完全に国家管理の対象。
生成AIには検閲・思想統制・利用制限がかかり、違反すれば罰則や停止命令も。国家安全や政治的安定のためのツールとしてAIを位置づけています。
- 生成AIには「暫定規則」=違反すれば運営停止
- 国家がAIの倫理・思想・検閲までコントロール
- AIは国家統制の武器。反体制の芽を摘む
🇬🇧 イギリス:柔軟で業界任せの方針

イギリスは「AI白書」で基本方針を示すだけにとどめ、細かな規制は各産業ごとに任せています。
過剰な介入を避けつつも、リスクがある分野では業界と協力してガイドラインを整備していくスタイルです。
- 国は基本方針のみ提示、細かいルールは各分野に任せる
- AIに過剰規制せず、柔軟に発展させる
- リスク管理とイノベーションの両立
日本のAI法は「中途半端」?世界と比較
比較軸 | 日本 | EU | アメリカ | 中国 | イギリス |
---|---|---|---|---|---|
規制の強さ | 弱い(努力目標) | 強い(罰則あり) | 弱い(自由重視) | 超強い(国家統制) | 中間(業界任せ) |
実効性 | △ | ◎ | △ | ◎ | ○ |
民間の自由度 | ○ | △ | ◎ | × | ○ |
国家主導感 | ○ | ◎ | △ | ◎ | △ |
倫理・透明性 | ○ | ◎ | △ | × | ○ |
日本の良い点
- 「信頼できるAI」という理念
- 法整備の方向性は◎
- 国と企業、研究者の連携を促進する体制づくりは前進
日本の悪い点
- 罰則と義務が特にない
- 世界のAIルール形成(特にEU)に出遅れている
- 計画が5年ごとでは技術の進化スピードに追いつかない
今のところ日本の立ち位置は「中途半端」
日本の立ち位置 | 一言で言うと |
---|---|
規制:弱い | 企業に「お願い」するだけ |
支援:あるけど少ない | 財源が少なめ |
影響力:低い | EUや中国に出遅れ |
可能性:あり | “信頼できるAI”を掲げたのは◎ |
ガネロボ的評価(独断と偏見マシマシ)

今回の法案は一般ユーザーにしてみたら全然関係なさそうに見える。



一般人には直接の義務も罰則も何も明記されてへんもんな。



せやけど、実は水面下で「日本のAIの遅れ取り戻そうとしてる」動きやで!
事実 | 裏にある焦り(完全な予想) |
---|---|
AI投資額:アメリカの1/40、世界12位 | 「このままやと日本はAI技術の植民地になるぞ…」 |
AI活用率:主要国中ワースト | 「便利なAIも、国内で作られへん=主導権ゼロやぞ…」 |
民間まかせじゃ無理 | 国が“司令塔”つくらんとあかん…ってなって今回の法案 |



つまりこの法律の本音はこうや!!
「国民のみんなに関係あることは直接書いてへんけど、日本のAI技術を育てて世界で戦えるようにせなヤバい」
→ でも、規制強化すると反発されるから“優しい感じの法案”にしてる



せやから「ゆるめの宣言」っぽい法律に見えてしまう。でも裏では「技術立国・日本が沈むのを食い止めたい国の焦り」がくみ取れるな。
❌ でも、ツッコミどころも多い
1. 義務も罰則もない=守らなくても問題なし
- いわゆる「ソフトロー(やってくれたらうれしいな〜法)」
→ 協力要請、助言、指導はあるけど、強制力ゼロ
→ 真面目な企業ほど損、悪質なプレイヤーは野放し
2. 「AI基本計画」って何書くかまだ未定
- 中身が未定=骨抜きリスク大
- しかも更新は5年ごとって遅すぎる
→ 技術の進化スピードと合ってない
3. 「国が調査・是正勧告できる」っていうけど…
- 人もお金もリソース不足すぎて、実際どこまで調べられるのか怪しい
- 企業のブラックボックス化が進むと、何も見えない



「意志は買う。でも武器がショボい。」そんな法律や。
ほんまに日本のAI立て直す気があるなら、ここからもっと踏み込んだ政策が要るな。
まとめ|“いい子”では勝てない時代に突入
日本のAI法は、誠実で配慮に満ちた“いい子”のような法律。
ですが、世界はAIを戦略的な“武器”として扱い、すでに法制度の整備も実効性も進んでいます。
このままでは、日本はAI時代のルールメイキングから取り残されるかもしれません。
次の一手こそが、日本のAIの未来を大きく左右する分岐点となるでしょう。
世界のAI法比較(ガネロボ簡易ver.)
🇯🇵 日本:めっちゃ真面目に「いい人ぶってる」けど、武器も力もまだ足りず。
🇪🇺 EU:AIに本気。罰則ガチガチ。ルールで世界を制す気満々。
🇨🇳 中国:AI=国家の支配ツール。自由なし。速さだけはチート。
🇺🇸 アメリカ:自由競争バチバチ。倫理?うるせぇ、稼げ!なノリ。
🇬🇧 イギリス:ゆるいけど判断が早い。バランス感覚〇。



今の日本のAI法は「良い子だけどクラスで目立たない」状態。
本気で世界と戦うには、もっと大胆な金の使い方と、実効性のあるルールが必要やで。
「信頼できるAI」とは何か?を自分の中でも考え始める
日本は“信頼できるAI”を推したい国。
でもそれって具体的にどんなAIなのか?を考えることが、ユーザーとしての責任にもなります。
国内の法律はまだまだゆるいですが、世界各国ではAIを「使う側」になるための動きが確実に活発化しています。
この流れは恐らく止まる事はないので、私たち一般ユーザーの、AIリテラシー(情報の見極め方・使い方)を学ぶ事が今後の日本のAI技術の発展にも繋がると思うので、これからもAIについて共に学んでいきましょう。

