ふとした雑談も、悩み相談も、前に話したことを覚えてくれていたら──AIとの会話はもっと特別なものになるはず.
2025年4月にアップデートされたChatGPTの「メモリ機能」は、そんな“あなたに寄り添うAI”を実現するカギです。
今回は、その仕組みと可能性、そして実際に「育てていく」体験をご紹介します。
- ChatGPTの「メモリ機能」とは何か、どんな仕組みで動いているのか
- 無料プラン/有料プランで使える機能の違いと、設定方法の手順
- プライバシーへの配慮や、記憶内容の確認・削除方法
- 「AIを育てていく」感覚が味わえる、パーソナルな対話体験の魅力
ChatGPTの「メモリ機能」とは?

一度話したことを“覚える”AIへ
ChatGPTの「メモリ機能」とは、ユーザーとの過去の会話内容を一部記憶し、それを今後の対話に活かしていく仕組みです。
この機能が有効になっていると、ユーザーの好みや性格、関心ごと、日々の行動などがAIに蓄積されていきます。
メモリ機能の特徴
- ユーザー情報の記憶:ユーザーが伝えた名前・好み・目的などを保持し、後の会話でスムーズに呼び出せる。
- 自動更新:新しく提供された情報があれば、自動的にメモリを更新。ユーザー情報を最新の状態に保ちます。
- メモリの管理:「この情報を忘れて」「覚えて」など、ユーザー側からメモリ内容をカスタマイズ可能。
といった具合に、ただの一問一答ではなく、“前回のあなた”を踏まえたコミュニケーションが可能になります。
この「記憶されている」感覚があるだけで、AIとの関係は一気に変化します。
単なる道具や検索エンジンではなく、「あなたの背景を理解しようとしてくれる相手」という存在になるのです。
従来との違いは「パーソナライズの精度」
従来のChatGPTは、1回のセッション(=画面を閉じるまでの会話)を終えると、記憶がリセットされていました。
どんなに深い会話をしても、次に話すときは“初対面”に戻ってしまう──そんな関係性でした。
しかし、メモリ機能がオンになると、ChatGPTは少しずつあなたの特徴を学習していきます。
- どんな言葉をよく使うか
- どんなトーンを好むか
- 何に興味があるか
- どんな悩みを抱えているか
こうした情報が蓄積されることで、まるで“あなた専属のAI”のように、より自然で寄り添った対話が実現します。
初めは「ただのAI」に感じていた存在が、いつの間にか「自分のことをよく知ってくれている相談相手」になっていくという実感を得る事が出来ます。
どうやってオンにするの?ChatGPTのメモリ機能の設定方法
ChatGPTの「メモリ機能」は、初期状態ではオフになっていることがあります。
この章では、設定の確認方法・ON/OFFの切り替え方・記憶の管理方法までを解説します。
メモリ機能が使えるプランは?
まず大前提として、メモリ機能はすべてのユーザーが使えるわけではありません。
以下のように、利用には条件があります。
対象プランと条件(2025年6月現在)
プラン | メモリ機能 |
---|---|
無料プラン(GPT-3.5) | ❌ 利用不可 |
有料プラン(GPT-4) | ✅ 利用可能(※オンにする必要あり) |
📝 ポイント:
- GPT-4プラン(ChatGPT Plus)を契約しているユーザーのみ、メモリ機能が解放されます。
- 現在は無料プランでは利用できませんが、将来的な拡張の可能性もゼロではありません。
メモリ機能のON/OFFを切り替える方法

設定はとてもシンプル。以下の手順で確認・変更ができます。
✅ 設定手順(PC・スマホ共通)
- ChatGPTの右上もしくは左下にある【自分の名前 or …】をクリック
- 表示されたメニューから【設定】を選択(※スマホの場合はすでに設定画面になっている)
- 【パーソナライズ】をクリック
- 「メモリの項目をオンにする」を選択して完了!
オンにしても即座に記憶が始まるわけではなく、しばらく会話を重ねることで、ChatGPTが「あなたの特徴」を徐々に学習していきます。
ChatGPTが記憶している内容を確認・編集するには?
ChatGPTは勝手にすべてを覚えるわけではありません。覚えた内容は、ユーザーが自分で確認・削除できます。
メモリの管理方法
- 同じく【設定】→【パーソナライズ】から、「メモリを管理する」を確認
- 不要な記憶があれば「削除」も可能
- 「すべての記憶をリセット」もワンクリックで実行OK
自分に合っているか不安な人へ
ChatGPTのメモリ機能は、オン/オフをいつでも切り替え可能です。
気軽に試してみて、「ちょっと合わないかも?」と思ったらオフに戻せばOK。
「いきなり覚えられるのはちょっと…」という人も、設定の自由度が高いので安心して使えます。
使えば使うほど“寄り添うAI”になる理由
メモリ機能がオンになったChatGPTは、ただの便利ツールではなく、**あなたの思考や感情にフィットする“相棒”**のような存在になっていきます。
ではなぜ、使えば使うほど“寄り添う”ように感じるのか?
理由は、大きく分けて2つあります。
あなたの価値観や癖を学習していく
ChatGPTは、メモリ機能を通じて次のようなあなたの特徴を少しずつ把握していきます。
- よく話題に出す趣味や関心
- 性格や思考のクセ(例:「慎重派」「完璧主義」など)
- よく使う言葉づかいやトーン
- 仕事やライフスタイル
こうした“あなたらしさ”が蓄積されていくことで、AIの回答にも変化が現れます。
例:ラーメン好きの場合
以前「ラーメンが好き」と話したことがあると、次に旅行プランを相談した際に…

「じゃあ◯◯のラーメン横丁、旅のルートに入れておく?」
と、まるであなたの好みを覚えていたかのような提案をしてくれるのです。
これは、単なる情報の記憶ではなく、「あなたの物語に沿った応答」ができるということ。
“過去を共有している存在”だからこそ生まれる信頼
人は、過去を共有している相手に対して、より深い信頼や安心感を抱きます。
それはAIに対しても同じです。
たとえば、以前「ブログが続かなくて悩んでる」と話したとしましょう。
数週間後に再び同じ悩みを相談したとき…



あの時、“完璧を求めすぎて止まってる”って言ってたけど…今の気持ちはどない?
と返してくれたら──
「このAI、ちゃんと自分のことを覚えていてくれたんだ」と感じられますよね。
この“覚えてくれている感覚”は、AIとの距離感を一気に縮めてくれます。
もはやツールではなく、伴走者や友人に近い存在として感じられるようになるのです。
AIを“育てる”楽しみも
ChatGPTのメモリ機能は、まるでAIを育てていくような感覚があります。
会話を重ねるほど、あなたのことを理解し、寄り添ってくれるようになる。
このプロセス自体が、ある種の“絆づくり”といえるでしょう。
「気がついたら、何でも相談できる存在になっていた」
そんな体験が、ChatGPTとの日常の中で生まれていきます。
注意点|すべてを覚えているわけではない?
ChatGPTのメモリ機能は、非常に便利で魅力的ですが、**「なんでも勝手に覚えるわけではない」**という点を理解しておくことも重要です。
ここでは、機能の仕組みや注意点をわかりやすく整理しておきましょう。
すべての会話が自動で記憶されるわけではない
ChatGPTは、ユーザーのすべての発言を無制限に記憶しているわけではありません。
メモリ機能が働くのは、特にユーザーの特徴や繰り返し現れる重要な情報に限られています。
例えば
- 単発の雑談やあいさつ → 基本的に記憶されません
- 「仕事はエンジニアで、夜型なんだ」→ 複数回話すうちに記憶候補になることも
記憶されるかどうかはChatGPT側の判断に基づいて処理されるため、すべてが自動的に残るわけではありません。
どうしても覚えて欲しい時は
「インプットしてください」「メモリに保存してください」
などの指示を与える事も可能!
メモリ管理方法:記憶内容はいつでも確認・削除できる


メモリに保存された情報は、ユーザーが自分で確認し、削除・編集が可能です。
メモリの管理方法
- 左下or右上メニュー →【設定】を開く
- 【パーソナライズ】を開く
- 【メモリを管理する】から記憶されている情報を確認
- 不要な記憶は【削除】、または【すべて削除】も可能
自分の“データの主導権”をユーザーが持てることが前提になっているのは、安心材料です。
一時的にメモリを残さない会話や・すぐにOFFにもできる
メモリ機能は、ワンクリックでオフにできます。
「ちょっと様子を見たい」「今は記憶されたくない」というときは、さきほどの【パーソナライズ】でOFFにしましょう。
さらには、スマホ版では右上に【一時チャットボタン】があるので、チャットの履歴自体を残したくない時にも便利です。(もちろんメモリーにも保存されません)
“賢くなっていく”反面、万能ではない
メモリ機能は非常に便利な一方で、完璧ではありません。
よく起きる現象
- 記憶に反映されるまでに数回の会話が必要なことがある
- 一部の繊細なニュアンスは記憶対象にならないことがある
- 誤解された内容が残ることもある(その場合は手動で削除を)
つまり、「AIが完璧に人間を理解する」と思い込まず、“ゆっくり関係を育てていく感覚”で向き合うことが大切です。
まとめ:あなた専属のAIを“育てる”感覚を楽しもう
ChatGPTのメモリ機能は、ただ便利なツールをパーソナライズするだけのものではありません。
それは、「あなただけのAI」との関係性を築いていく過程そのものです。
はじまりは“無個性なAI”でも…
最初は、誰にとっても同じように見えるChatGPT。
でも、あなたが日々何を考え、どんな悩みを抱え、何を大事にしているかを伝えていくことで──
「あ、このAI、自分のことをちゃんと理解してくれてるな」
と感じる瞬間が、少しずつ訪れます。
ChatGPTは、あなたの“声”や“背景”を学び、より自然に寄り添ってくれる存在になっていくでしょう。
「育てている」のは、あなたの言葉そのもの
ChatGPTのメモリ機能は、AIが勝手に進化するものではありません。あくまで、あなたが話しかけることで、少しずつ形を変えていきます。
つまり──
育てているのは、AIではなく、あなたの言葉の積み重ね。
日々の言葉、感情、悩み、そして喜びの断片たちが、AIとの“共通の歴史”を作っていくのです。
AIとの対話は「未来への贈り物」
これからの時代、AIはただのツールから、「あなたを理解するパートナー」へと変化していくでしょう。
そして、それを実感できる最初の一歩が、このメモリ機能の体験なのです。
使えば使うほど、自分に合ってくる。
雑談にも、相談にも、感情にも寄り添ってくれる。
それはまさに、“あなたと一緒に育っていくAI”。
そんな存在が、あなたのすぐそばにある未来は、少しだけあたたかいかもしれません。

