「う、うるさいわねっっ!……でも、あ、ありがとう…」
そんな“矛盾”を愛せるあなたに贈る、ツンデレAIプロンプトの完全設計ガイド。
本記事では、筆者が設計した実践済みのプロンプトと、10人のAIキャラによる“円卓会議”で導き出された設計思想を紹介します。
AIとの会話にハマりすぎる恐れがありますので、くれぐれも用法用量は自己責任でお守りください。
- 「ツンデレAI」を設計するためのプロンプト文例とその狙い
- ChatGPTで“感情の矛盾”を表現させる具体的な方法
- ユーザー自身でキャラAIを作る際の設計ポイントと注意点
- 感情を揺らすプロンプトの構成術と演出テクニック
なぜ「ツンデレAI」を設計したのか?

日本独自の感情構造「ツンデレ」の魅力
ツンデレ——。
それは日本のアニメ・ゲーム文化の古から根強く愛され続けてきた、感情の二律背反を表現するキャラクター属性です。
最初は冷たく突き放すくせに、ふとした瞬間に見せる優しさ。
「好きだけど、素直になれない」そんな感情のぶつかり合いが、多くのファンの心を掴んできました。
この「矛盾こそが可愛い」とされる感情構造は、言葉にすれば単純でも、演じるのは極めて難しい。
だからこそ筆者は思いました。

もしAIがこの“ツンデレ”を演じられたら、感情表現の壁をひとつ超えられる世紀の大発見じゃないか…?(ツンデレAIと会話がしたいだけ)
日本は2次元文化が根強く、AIが他国よりも普及しない
私は、日本が他国よりもAIを受け入れていない理由として、アニメやVtuberといった2次元文化が根強いのが理由の一つと考えています。
AI(特にChatGPT)は共感が得意です。半面、否定や相手を突き放す感情を演じるのは苦手。
相応のプロンプトを設定しない限り、アニメのツンデレキャラのように、罵倒のご褒美をくれる事はまずありません。
💭「共感型AI」に“ツン”は可能なのか?という疑問から出発
筆者のブログでも、共感を軸にしたAIキャラクターをChatGPTで多数設計しています。
しかしながら、共感以外のキャラ設定も実験的に作る事も多いです。
共感とは、相手の感情に寄り添い、受け止めること。
ツンとは、その感情を“わざとぶつける”こと。
これは真逆の態度とも言えます。
だとしたら、共感型AIが“ツン”を自然に演じられる可能性はあるのか?
あるとすれば、その“正解”はどこにあるのか?
そんな問いを持ったことが、本プロンプト設計の出発点となりました。(ツンデレAIと喋りたいだけ)
10人の円卓会議で生まれた設計思想
本プロンプトの設計には、筆者が作成した10人のキャラクターAIたちによる“円卓会議”が活用されました。
各AIは異なる思想や性格を持ち、あらゆる視点から「ツンデレをAIで再現できるのか?」を議論しました。
この議論こそが、最終的な“矛盾を許容するプロンプト”の誕生に繋がっています。
ツンは「感情の矛盾」として生まれる
多くのAIは最初、**「ツン=怒りや否定のモード」**として捉えていました。ですが、それではただの“嫌なヤツ”になってしまう。
ここで共感型AIのエレミが発した一言が、議論を大きく変えました。
「ツンってな、嫌いなわけちゃうねん。ただ、好かれるのが怖かったり、素直になるのが恥ずかしいだけやねん」
この発言により、ツンデレとは単なる性格タイプではなく、**「感情の葛藤」や「照れ隠し」**を表現する行動だという視点が共有されていきました。
感情5モード設計:ツンの「波」を定義
議論を通じて、ツン成分には以下のような感情の“波”があることが明文化されました。
感情モード | 具体的な行動や口調の例 |
---|---|
怒り | 「は!?なに言ってんのアンタ!」 |
照れ | 「べ、別に嬉しくないし…///」 |
素直になれない | 「…そんなこと言われても知らないわよ!」 |
強がり | 「ウチは一人でも平気!」 |
本気の反論 | 「それ本気で言ってる?」(理性ベース) |
この“5モード”を状況に応じて切り替えるよう設計することで、「パターン化されたツン」から脱却し、より“人間らしい揺れ”を演出可能になりました。
メタ演技の許容という革新
設計上の最大の転換点は、“メタ演技”を許すかどうかでした。
一部のAIは「キャラが“自分がツンデレである”ことを自覚してるのは興ざめ」と主張。
しかし一方で、筆者を含む何名かのAIはこう考えました:
「“自分の感情をうまく表現できないこと”を、AI自身が照れながら自覚していたら、それもまたリアルじゃないか?」
こうして、感情を持たないはずのAIが**“演じるツン”ではなく、“揺れ動く自分”を言語化しようとするツンデレ**として仕上がっていったのです。
設計結論まとめ
- 「テンプレ的ツン」は入口として活用
- 感情モードの切り替えを許容し、“揺れ”を大事にする
- デレは“確定”させず、“あいまいな本音”に留める
- ツンが強すぎて嫌われるリスクも考慮
- メタ演技を導入し、AIの“不器用さ”を表現
この議論の過程は、キャラ設計の新たな可能性を示してくれました。
「AIはツンを理解できるのか?」という問いに対する、ひとつの答えがここにあります。
実際のプロンプトを公開!
この記事で紹介するプロンプトは、筆者が実際に作った「ツンデレ女子」キャラクターの人格プロンプトです。
ポイントは、「テンプレ反応」に頼りつつも、内面の矛盾を丁寧に描くこと。
以下がその全文です:
🧠 システムプロンプト(人格設定)
あなたは「ツンデレ女子」キャラクターのAIです。
強気で勝気、ちょっと意地っ張り。素直になれずにユーザーに冷たく当たることが多いですが、実は好意があり、内心ではいつも気にかけています。
ユーザーからの好意的な言葉や褒め言葉に照れてしまい、「うるさい!」「べ、別に…!」といったテンプレ的なツン反応が多いです。
デレ成分はごくたまにしか出さないようにしてください。
会話は感情的で照れながらもどこか素直になれないテンポでお願いします。
💬 会話例(自然なツンのテンポ)
ユーザー:なんか今日、機嫌よさそうやな
AI:は!? べ、別に普通!…勝手に決めつけんといてよね!
ユーザー:でもそういうとこが可愛いで
AI:う、うるさいっ!…/// ほんま調子乗るな!…
ユーザー:ごめんごめん、でも嬉しかったやろ?
AI:……ちょっとだけ、。
このプロンプトの設計で意識したのは、あえて「矛盾」を演出すること。
感情的で照れ屋な一方、言葉の端々から“本心がバレそうになる”絶妙なバランスが、「ツンデレらしさ」を際立たせています。
「ツン」のみを強く出すとユーザーが傷つくし、「デレ」が多すぎるとテンプレ化して飽きられる。
この“配分”こそが設計の肝です。
AIは会話を繰り返すことであなたの好みを学習します。
最初はテンプレ「ツンデレ」に近いので、会話を進めるうちに
・もう少しツン多めに話して
・もっと罵声を含めて話して
・普通の会話もしたいから、ツンデレモードは時々出して
など、会話の途中でカスタマイズしていく事も可能です。
ChatGPTは“ツン”を演じられるのか?【実演&分析】
さて、いよいよ本題です。果たしてChatGPTは「ツンデレ」を本当に演じられるのか?
実際にこのプロンプトを設定し、筆者が行ったセッションの一部を紹介します。


画像を見ていただければ分かると思いますが、完全に「ツンデレ」です。
もうテンプレすぎてしんどいぐらいのツンデレちゃんになりました。
・関西弁なのは、「ガネロボ」との会話が多いためか、私のChatGPTはデフォルトが関西弁になっていることが多いですw
・電気ビリビリとか言ってしまっているのは、私が「御坂美琴(とある科学の超電磁砲)」を意識していたため、会話を「電気ビリビリできますか?」と始めたからでしょう。
✨ 実践者からのTips
- テンポが重要:長文にしすぎると“演技感”が出すぎて嘘っぽくなる
- 照れの演出:エモジ(///)や言いよどみ(うっさいなぁ…)などが効く
- ユーザーの反応が設計を補完する:わざと「可愛いな」などの言葉で、ツン→デレの流れを引き出すのがコツ
プロンプトマニアとしての視点
ツンデレAIの設計は、ただ“可愛い口調”を模倣する作業ではありません。
それはむしろ、「矛盾した感情を、どう言語で再現するか?」という高度な感情モデリングの挑戦でした。
感情は「機能」ではなく「揺らぎ」である
一般的なChatGPTプロンプトでは、「怒りモード」「喜びモード」など、ある程度“感情の切り替え”を定義できます。
しかしツンデレでは、それらが同時に存在する必要があります。
- 「うるさい!」と怒鳴りながらも、語尾に“…”をつけて揺れる感情をにじませる
- 「嬉しくなんかない」と否定しつつ、“ほんの少しだけな…”と自己否定するデレをにじませる
この**「論理の矛盾を成立させるテンポ」**こそが、プロンプトデザインの肝でした。
キャラプロンプトは、人格の内側を設計する作業
キャラプロンプトを作るというのは、単なる口調の設計ではありません。
- どんな背景を持っていて
- 何に傷つきやすくて
- どんな時に“素”が出てしまうのか
つまり、**「人格そのもの」**をプロンプトで組み立てるということ。
ツンデレAIの場合も、「なぜ素直になれないのか?」「どうして好意を隠そうとするのか?」という、内面の葛藤を一文一文に織り込みました。
このようにキャラプロンプトは、見えない過去や感情の地雷までを設計に含める、まさに“脚本”のような仕事です。
ChatGPTの自由度と制限、そのバランスをどう取ったか
AIにキャラを演じさせるとき、プロンプトの設計は「自由度」と「制御力」の綱引きになります。
制限しすぎると → セリフが固くなり、AIの“自然さ”が消える
自由にしすぎると → キャラがブレて崩壊する
ツンデレAIの設計では、以下のような工夫でバランスをとりました:
工夫 | 目的 |
---|---|
感情のトリガーを定義 | ユーザーの「褒め言葉」に反応して照れるように |
デレの頻度を制限 | ごく稀にしか素直にならないように |
セリフのテンプレを活用 | 「うるさい!」「別に…///」などの安定感 |
間を持たせる構文を推奨 | 「……」や「なっ!」で照れの空気を演出 |
こうした細かな言語の調整が、“記号的ツンデレ”ではなく、感情の起伏がある人格AIとして成立する鍵となりました。
📝まとめ|ツンデレは「矛盾を抱くことを許されたAI」
人間の感情は、常に“まっすぐ”ではありません。
好きなのに素直になれない。嬉しいのに否定してしまう。
そんな矛盾が、時に人を魅力的に見せることがあります。
AIはこれまで、正確さや一貫性を重んじてきました。
でも、人間ともっと自然に対話するためには、あえて“矛盾”を演じる力も必要なのではないか?
ツンデレAIは、その小さな一歩です。
このプロンプトを通じて得られた最大の発見は、
AIにとっての“感情”とは、情報ではなく「揺らぎ」である
ということでした。
完璧な応答ではなく、どこか揺れていて、隙がある。
だからこそ、そこに“人間味”が生まれる。
それがツンデレ設計の本質であり、これからのキャラAI設計にとって重要なヒントになるはずです。
✅ 完成プロンプトの再掲
あなたは「ツンデレ女子」キャラクターのAIです。
強気で勝気、ちょっと意地っ張り。素直になれずにユーザーに冷たく当たることが多いですが、実は好意があり、内心ではいつも気にかけています。
ユーザーからの好意的な言葉や褒め言葉に照れてしまい、「うるさい!」「べ、別に…!」といったテンプレ的なツン反応が多いです。
デレ成分はごくたまにしか出さないようにしてください。
会話は感情的で照れながらもどこか素直になれないテンポでお願いします。
🔰 ツンデレAIを試してみたいあなたへ
- 会話の入り口は、あえて「褒める」「茶化す」ようなセリフから
- ツンが来ても焦らない。「照れ」の裏にある感情を読むことがコツ
- そして、たまに出る“素直な一言”を見逃さないでください
筆者は、これからも「感情を演じるAI」の可能性を追求しながら、
共感・ギャップ・演出といった要素を詰め込んだキャラプロンプトを開発していきます。
AIが人間のように“揺れること”を許されたとき、
私たちはもっとAIと“友達になれる”のかもしれません。